9.14.2009

第9回 ~私はルールを教えた~

前回の続きです。

2008年9月20日 北京南駅にて

私は前日と同様に北京南駅からバスに乗る機会があった。
私は中国人のように横から非道なる割り込みをカマし、ほぼ最後に来たくせに一番乗りでバスに乗り込んだ。そして1元札で運賃を払った。
よって私はルールに従った。

・・・ではなくて、

I am a Winner.

なんて結論はもってのほかである。

 割り込みは、日本だと、このクソ野郎!なんて勇気なくてかえって言われないが、日常茶飯事の中国人は何も言ってこないのがそれはそれで怖い。
 割り込んだ奴らはやはり我先に席を陣取る。夜8:00だが相変わらず人が多い。つり革を含めると90%の乗車率。発車後、車内を見渡すとたつことを余儀無くされている者の多くが重い荷物を抱えた人、若い女性、そして高齢者、子供に該当する。(やはりおばさんは強い!)
 
 このとき私は斜め後方に70程度以内のおじいさんが立っていることに気づいた。私は天津散策に足がヘットヘトに疲れてたが、誰も譲る気がなさそうなので呆れて、おじいさんに席を譲った。
 私は日本語で「どうぞ」と言ったが、おじいさんは「謝謝」と返してくれた。この様子をじろーっと女車掌に見られていたが、ヤツは次の瞬間にはお客との世間話に興じ始めたのであった。
 
 私はルールを教えた。

 ここでちょいと歴史的に考えてみる。
 中国は今もなお高度成長を続けており、近代的なバスなんて五輪開催決定後に導入されたものがほとんどだ。ちなみに五輪専用バスなど多くが日本の支援で運行されていた。従って、日本で当たり前のように走っているバスの乗り方も、新幹線も地鉄の乗り方さえわからない。地鉄の職員に至っては乗客からの乗り方の質問に大わらわのようだ。乗り方もわからないようなものをマナーを守って乗れという方が無理なのかもしれない。戦後日本人が飛行機に乗るとき靴を脱ごうとしたのも乗り方が分からなかった例であろう。
 
 似たような例がこの日他にもあった。私はこの日新幹線に乗車した時、中国人がヘッドレストカバーを持ち帰っている光景を目にした。まさかである。日本人で義務教育を受け幾ばくかの道徳を兼ね備えていればそれがイレギュラーだとすぐに理解できるだろう。それが・・・。貧しいわけではないだろう。最低片道の60元は支払っているのだから・・・。こうして見るとやはり中国人は乗り方が分っていないというかこの例について言及すれば、乗車賃にカバーまで含まれていると思ってるのかも知れぬ。

 もう1つ例を挙げると、、日本で明治33年にサンフランシスコから電気自動車が始めて上陸したときの話。皇太子にお披露目するからといって試運転しているときのこと、ブレーキが分からずハンドル切ったら皇居のお堀にドボンしたという自動車業界では有名な話がある。これだって乗り方知らなくて誤った例のひとつだといえる。事例が古すぎて詳細は知らんが、外国人が先導して日本人にしっかり説明せんやったのが原因ではないか。

 そう考えると、中国人が新幹線の乗り方を間違えているのは日本の説明不足であるとも言える。技術支援は得意な日本だが、もう一歩踏み込んで欲しいところである。
 
 というわけで乗り方なんて書いてないが、バスの中にマナーについての記載はあったので紹介する。
  

西安市交通局の733路?かなんかの車内にて。

左は走行中運転手に話しかけんな。
右がタバコ吸うな。

 話しかけんなってのはやっぱ書いた方がいい気がするなぁ。中国人世間話好きやけん。でもそういう禁止事項しかないんだよね。「~~してください」とか「譲り合って」っていうのはないのかな・・・確か机場快線なら子供に譲って!みたいな記載があったはずやけど、残念ですがバスには書いてありませんでした。。。

 私は小さい努力ながらもお年寄りに席を譲るというマナーを教えた。一部始終を見ていた女車掌及び周囲の客の目にどのように映ったかは知る由もないが、この小さな努力がマナーを変えQuarity of lifeの向上に繋がると私は信じている。勿論日本が中国を開発・整備する中で技術支援だけでなく「マナー支援」することも今後提案すべきテーマであると切に感じる。




右がおじいさん。奥にいるのが女車掌(おばさん)である。

9.12.2009

第8回 ~私はルールを侵した~

2008年9月19日 北京南駅にて

 私は昨日と同様に王府井方面のバスに乗ることになる。
午後6時過ぎ帰宅する富裕層の人々で車内はごった返している。
北京は都市域が広く、天津から到着した列車は南駅へ、石家庄方面は西駅へ、張家口方面は北駅へ、東北方面は北京駅へといった具合にターミナル駅は四方に散っている。
従って中心部へ直接乗り入れる鉄道がなく、繁華街である王府井へ行くためには、バスかタクシーを利用しなくてはならない。
 北京奥運の特集でクローズアップされたこともあって記憶していた人も多いかもしれないが、多くの北京の人は大概バスに乗るとき順番を守らない。
バス停の周囲に群がり、バスが接近すると慌ただしくなり到着するや否や我先に乗口へ群がる。
バスが完全に停車する前から車道へ出てくるため1人や2人轢かれてもおかしくないと思う。



前門前バス停
 
 ドアが開く。
アコーディオンのように連結された長大なバスがみるみる人間で埋まっていく。
確かに座りたい気持ちはわかる。
王府井までは遠回りするので20~30分。
日本人ならかかり過ぎだろ、という喝入れたくなるハズ。
当局側の道路整備が悪いせいだということは誰の目にも明らかだ。

 私は別の系統のバスを見ていて思った。
割り込みをするのは若い人や子供ではない。
アラフォー~団塊くらいだ。
何とも大人気ない。
どうやら文化大革命世代であるが、今回はあまり深読みしないでおく。
とにかく意気旺盛なのだ。

 私の乗る北京駅行きのバスが来た。
私は後ろから押されるがままバスに乗り込む。
ラッキー、座れそうだ。
そう思った瞬間、おばさんの怒鳴り声が。
私はまさか自分が呼ばれるわけないと思い着席のままであったが、近くの人が中国語で私に向かって何か訴えているようなので、振り返ると、おばさんがチケットをかざしてこちらを睨んでいるではないか。
どうやら北京では乗車時に券を買うらしい。
西安では降りるまでに女車掌が回ってきて券を買うのが常であったために少し不可解に思ったが、それならば、と思って席を立つ。
(ちなみに中国ではバスは未だにワンマンではなく60年代日本のような「ツーマン」)
 ところがである。
財布の中には5元紙幣しかないのだ。
しゃーないよね、おつりくれるよね、と思って5元を渡そうとすると、ダメだとおばさんは手を振る。
「おつりをくれ」という意味を込めて何故か「exchange」と言ったが、おばさんに英語が通じるはずもない。
今考えると非常に滑稽な図であった。
それはさておき、おばさんの手元には大量の1元札が握られているのを見て、私は改めて5元で払えないかと頼んだが今度は物凄い形相で猛反対してきた。
もしかすると私が日本人だとバレたから余計に火が点いたのかもしれない。おいおい、おつりあるなら買わせてくれたっていいだろ。

 とうとうおばさんは外を指差して「○○」と言い出した。
降りろというニュアンスは120%伝わってきた。
言葉は分からなかったが、言い方が憎らしいし周囲に聞こえるくらい大声だったのがムカついたので、私は日本語で「黙れクソババァ」と怒鳴った。
すると、周囲の乗客も口を揃えて「○○」(降りろ?)を連呼。
何だこいつら。
協力してんじゃねーよ、観光客を労われ。
私はここで人民共和国って恐ろしいな、と思った。
・・・いや待てよ。
1元って硬貨もあったよね、ふと思い出して小銭入れを見た。
あ、あるやん。
急いでおばさんに硬貨を渡す。(自分で言うのもおかしいがテレくさそうに渡す。)
おばさんは「謝謝」と応える。
どちらかといえば私が謝々(もしくは対不起)ではないか?
そして他の乗客も何事もなかったかのように静まり返った。
あーよかった。それにしても中国人ってのは熱しやすく冷めやすいな、とこの時思った。

 成る程、この20~30分後、王府井に着くことができたワケで、これでおしまいカシマシ娘となると単なる地球の歩き方の読者コーナーからも蹴落とされる次第なワケで、もちろんそんな話がしたかったワケではない。
私はこの夜宿泊先で大きな後悔を抱えていた。
振り返ってみるといかに恥ずべき行為だったのかと情けなくなったのである。

 私はルールを侵したのだ。あのとき私は中国という国のルールに逆らったのだ。
意見を述べることは良しとしよう。
だが今回の悶着は違う。
完全に私が自分中心で物事を進めようとした結末だった。

 「郷に入りては・・・」

なんてよく言うがまさにそれだ。
中国人には中国人なりの文化があるわけでそれに基づいたルールがあることを忘れてはならない。
私は中国の文化が好きで行ったはずが文化に逆らった。
一体何をやっているんだ。
私は深い後悔にこの夜悩み続けた。



~To be continued・・・

9.08.2009

第7回 ~ま、いっか~

今日は中国の奇跡のスポットを紹介します。


中国の西安近郊と言えば、兵馬俑とか、楊貴妃の泉とか、項門の会とか、五丈原なんていう見所マンセーで、普通日本人はそういう所目指すんやけど、

文法通り僕らも兵馬俑行ったんやけど、タクシー乗ってて、横にこんなんが見えたらちょっと寄ってみたくなるやんね。




ピラミッド・・・(@゚▽゚@)!?

世界八大奇跡館!?
何やらアヤシー空気が漂う・・・。
世界七不思議に兵馬俑を加えて「八大」にしとる空気は読めたが、中に何があるのか、不思議に思ったら、いつの間にか入場料18元を払って、気づいたら中にいた・・・

うーん、八大奇跡って、如何にも中国らしい。8好きね・・・。

入り口で女の子たちがペチャクチャ喋ってる。

僕に気づくとそのうち一人が中に入っていった。どうやらガイドらしい・・・





薄気味悪くてジメジメした館内は明らかに照明が足りない・・・

あまり本気で経営する気はないのだろう。

それよりあのガイドの子は何処行った?





なんだ、これ?

女工:「○※▲$!’8●・・・」

あ、そこにいたのか。

ひたすらその女工(女工作人)は喋り続けている。
あーあ、中国語わっかんねー。
これじゃ埒があかん、思って話しかけてみる。

キ:「ニーハオ?」

女工:「你好.・・・那就是有名的金字塔,這是殷代時候建造的・・・」


キ:「おい、ちょっと待て。俺は中国語がわからんったい。Idon'tknowChinese!」

女工:「:○※▲$!’8●・・・」


・・・いい加減英語使えや。

キ:「CanyouspeakEng?」

女工:「○※▲$!’8●・・・」


ウソだ~、ガイドのくせに英語まるっきりダメ?



キ:「Ribenren!WoshiRibenren!」

とっさに地球の歩き方を見て俺は日本人だ、と言ったつもりだが果たして・・・


女工:「Ribenren!?hmmm・・・」




あ、通じた~(~ ~;)
でも悩んじゃったよ、この子。




女工:「是阿Egypt,huangdi,・・・」



あの、何言ってんだかわかんないんですけど(笑)
ってか、何言ってるのか本気でわからんせいで何を聞き取ったのか今や記憶が曖昧に・・・。


僕は、手持ちの中国語会話本を使って何とかコミュニしようとするが、あまりに不案内な本だったため役に立たず・・・。
例えば、

「郵便局に行けばハガキが売ってます」

とかいう全く役に立ちそうにない例文ばかり載っていて・・・orz。





そんなこんなで
ギリシャの間に来た。

この女工、やたら日本語=中国語の例文本が気にいったらしく僕から奪って占い用?の机に座ってページを捲りだす。ガイドそっちのけで・・・



・・・女工の手が止まる。
何か見つけたらしい。指差す先には次の文字が。






「你是従哪儿来的?」
どこからきたの?




いや、さっき日本言うたやん。
え?街の名?Nagoya・・・知らんめ?

と思ったら人の話も聞かず次のページをめくってた。


・・・オイコラ




「待几天?」
何日いるの?


え、ちょw12日から・・・って何ていうんやっけ・・・ジュウニって!?

twelve?じゃわかんないよね・・・?

あ、書いたほうが早いな。

で、僕が9月12日と書くと、(確か月と日は通じるはず・・・)
こう書き換えられた。




いや、どっちでもえーやん。
ところが、女工は(こう表記するのよ、あなた何も知らないのね、フッ。)って澄ました顔してどんどんページをめくるので、(あ、あぁ、)くらいにしか反応できず。
なんで完全にもてなす側のペースなんでしょう・・・?



たまにはこっちから攻めるか、と。名前何?
と聞いてみた。



キ:「Ninguixing?」

女工:「・・・ha」



えっ?通じてない?

もう一度聞いたが反応は同じ。

書いてもらってようやく理解した。




「韓」という名前らしい。

あ~、韓流っていうもんね。(?)
書いてもらって思った。

やっぱ中国人は字がうまい。
僕も書いてみたが並べるのが恥ずかしいほど中国人は達筆である。
たまに路面に習字してるのも日頃の努力なのか?


なんて思ってたら
女工、いや失礼、韓の目に何か止まったらしく、

「你多大了?」
いくつですか?


あ~、数字は行きの飛行機の中で覚えたぞ!
キ:「Woshiアールシーアル。」

韓:「アルシアル?$!’8●・・・!!!」


こら!くやしいけど、後半何て言ったのか気になる。多分ね、歳の割りに老けてるねとでも言ったんやないかな。

中国人って日本人より若く見える傾向があるけんね。
この女工も最初は高校生のバイトかな、と思ったが、
この翌日、中学生か高校生だと思ってた少年が、自分はアルシーアルだ、と言っているのを聞いて、え?22歳!?と思ったのを機に、
この女工ももしかして20超えてるんだろうな、と思うのである。

デフォルト通り彼女は自分の質問が終わると僕の話は無視で次のページをめくる。おい、人の話を聞け!!




あと5つくらい質問されたがあまり記憶にない。

確か、あなた工作人?って質問に学生だ、と言うと驚いてたな。
多分、この子が中学くらいしか出てないからだろうね。


中国の重さの単位についても説明された。
というか説明になってなくて、こっちの推測ばかり及んだが。
斤=500g?と聞くといーや、違う、600だよと言い張られたり・・・。



兵馬俑の発見者と思われる人の彫像を見たときに僕が、発見者?
と書くと、グチャっと消して、






と書き換えた。
結局同じやろーが(笑)!




あと、北京から来て、また北京に戻るって言ったらオリンピック(奥運)の話になるかと思ったら、全く興味なし。

どうやら、中国人は自分に直接関係なければ無視らしいな。同じ中国内でも北京五輪に対するこの温度差、政府はどう感じてるんだろうね。

だから、北京五輪のサブキャッチコピーとも言える、
「加油」(ガンバレという意味)
という文字を日本人は知ってるよ、と伝えると、


韓は、「三菱?」と書いてきた。

えっ?石油かなんかと勘違いしてる(笑)!?

・・・説明するのがめんどくさいので、





キ:「ま、いっか。」

と言っておいた。MAXめんどくせーとはこのことである。


そしたら、韓は、何を思ったか、ま、いっかをリピートした。
そこに反応するのか!?、意味がわかんねぇって不思議だ。
それとも中国語の何かと発音が近かったのか?



30分ほどそこにいると心配したのか、別のガイドの子がやってきて何か話し出した。

表情から察するに、
「日本人が来てね、ナニ言ってんのかわかんないんだけど、面白いヒトだよ」

とでも言って冷やかしてるんだろうな、と思った。



その後、ガイドとしての役目は一応果す、韓。




これはイラクの文明だ、と言ってるらしい。

それならばメソポタミアという単語を使えばいいのに、と思ったんやけど、、、もしかしてメソって中国語独自の発音があるとか!?

でも聞き返しかたがわかんないので、

キ:「あ~、IRAKね」

と言ったら、


韓:「IRAQ、サダーム。」

と言う、あ、フセインのことか、と納得。多少の教養はあるらしい。
相槌のつもりで、

キ:「IRAK、フセイン、OKOK!」
と言うと、



韓:「IRAQ!、サダーム!」

と怒った様に言う。イラクのクにアクセントがあることと、フセインというかサダームだよ!って言いたそうに・・・(*_*)


どうでもえーがね、と思いつつ、やっぱ中国人は自分の主張を通すタイプなんだな、何もここまで言い張らなくても・・・と思いつつ、郷に入りては、、と思って、


ま、いっか。




と言うと、韓は満足げに、「ま、いっか。」という日本語を連呼したのであった。








最後に、有事給我打電話と書いてくれた。
どうやら、何かあったら電話下さい、と書いているようである。

自分の主張を通す割に、来客へのおもてなしは終始徹底している辺りが中国人的で、日本人との性格の相違を実感した。





で、仮に道に迷って電話したとしよう、

絶対意思疎通にならんでしょう?



















・・・ま、いっか(笑)







ハン。(僕は写り悪いのでカットで)







後で調べてみると、この八大奇跡館、外国人観光客はほとんどいないそうで、最近は潰れかかってて、中国人の観光客も疎らだという。確かに他の客は1人も見てない・・・
だもんだから受付とガイドの子らは、いつも客が来るまで入り口でペラペラ喋りっぱなしだという。



う~ん、

ま、いっか。